はじめてのリスク管理

リスク管理の考え方

リスク管理のカテゴリを作ったもののどんな記事から作るか長らく悩んでいましたが、まずはリスクやリスク管理とはなんなのかについてまとめます。

リスクという言葉は分野や用途によって様々な意味合いを持っています。

  • 怪我をするリスクがある
  • リスクヘッジのために複数案用意した
  • 固定金利だからリスクはない

などなど、定義に関する議論をしていけばいくらでも深堀はできるのですが、このブログで扱う資産運用の観点では、噛み砕いて言うと、

リスク
⇒将来の不確かさ
リスク管理
⇒自分の身の丈を知り、その範囲で投資をコントロールできているか確認すること

であると定義します。

この記事では、上記の考え方について具体例を交えながら、簡単な説明をしていきたいと思います。

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リスクとは

リスクの意味

リスクと言われると、「危険」というイメージを持つ人が多いのではないでしょうか。

「リスクを冒す=危険を顧みずに」という意味で使われることも多いですよね。

ですが冒頭で書いた通り、資産運用の観点では、リスクは将来の不確かさと定義します。

これは悪い方向だけではなく、良い方向についても含まれています。

リスクが高いとは、将来の変動幅が大きい可能性が高いということです。

ご存知の通り、あっという間に何倍にも、何分の一にもになったりするような仮想通貨は、リスクが高いと言えます。

一方で、債券なんかは株や為替に比べて値動きが小さく、また満期まで持っていれば必ず元本は帰ってくるので、リスクは低いと言えます。

リスクとリターン

リスクの対義語ってなに?と聞かれるとどんな言葉を思い浮かべるでしょうか。

私の周りには「リターン」と答える人が多かったですし、私自身も最初はそう考えていました。

また、「リスク=危険」と思っている人であれば「安全」と答えるかもしれません。

ですがリスクの意味が不確実さであるならば、リスクの対義語は確実さであると言えます。

リターンはリスクを取った、あるいは取らなかった結果であって、対義語ではありません。

リスク対比のリターンとよく言われますが、同じリターンが得られるのであればリスクは少ない方が良いという意味ですね。

リスクはリターンを得るための手段です。

リスクとリターンは、リスク管理を考えるうえでの大事な指標になるので覚えておきましょう。

考え方はいろいろあって、リスクの対義語はリターンという人もいます。それらを否定することはしませんが、本ブログではこの考え方で話を進めていきたいと思います。

リスクの種類

例えば、株式への投資ひとつを取っても、様々なリスクが考えられます。

代表的なところでいえば、

  1. 市場リスク
  2. 信用リスク
  3. オペレーショナルリスク

などがあります。

市場リスクは読んで字のごとし、市場の価格等が動くことによる収益または損失の変動を指していて、このブログで扱うのも基本的には市場リスクになります。

ですが、株式を持つことによる収益や損失の変化要因は、市場価格だけではありません。

株式を発行している会社が倒産すれば、株式は紙切れになってしまいます。

それが信用リスクです。

オペレーショナルリスクはあまり馴染みがないかもしれませんが、有名な話で言うと、2005年に起きたジェイコム株の大量誤発注事件がまさにこれです。

人為的なミスによる損失で、システム障害による損失もここに含まれることが多いです。

リスクの種類は非常にたくさんあり、それについては別の記事で説明したいと思いますが、このブログでは、もっとも個人の資産形成に直結するであろう市場リスクを題材に話をしていきたいと思います。

リスク管理とは

リスクの定義は分かったとして、じゃあリスク管理とは何でしょうか。

ということで、今度はリスク管理の定義です。

こちらも冒頭に書きましたが、本ブログでは、リスク管理を「自分の身の丈を知り、その範囲で投資をコントロールできているか確認すること」として話をしていきます。

リスク管理のアプローチ

リスクにはさまざまな種類があると書きましたが、ひとつ共通して言えるのは、統計的にある程度の発生確率を予測できるものという点です。

一方で、統計的に測れない(過去の情報が少ない)リスクもたくさんあります。

  • 自動車で事故にあう確率は予測できる、じゃあ飛行機は?リニアモーターカーは?
  • 予測できないものはリスクじゃないの?じゃあ無視して良いの?

考え始めればきりはありませんし、明確な答えはありません。

このブログでは、これらを予測可能なリスク予測不可能なリスクという言葉で区別していきます。

最近では、予測可能なリスクは統計的に予測して、それができないものは自分でシナリオを考えてシミュレーションする(いわゆるストレステスト)という、両面からのアプローチが主流です。

詳しい話はそれぞれの単語ひとつでいくつも記事が書けてしまうほど面倒なのですが、大事なのは統計的に測れないリスクはたくさんあり、それは技術の発展とともに急速に増えているということです。

こう言ってしまうとリスク管理なんて素人が勉強しても意味がないと思われるかもしれません。

ですが、個人が資産運用するという観点においては予測可能なリスクで十分カバーできますし、統計なんて難しいことが分からなくても活用できます。

むしろ、それを伝えたくてこのブログを始めたと言っても過言ではありません。

身の丈を知るとは

何も難しいことはありません。

シンプルに言ってしまえば、どのくらい市場環境が悪化しても大丈夫なのかを知るということです。

大丈夫じゃない状態は人それぞれです。

まずはこの大丈夫な状態とそうでない状態を明確にすることがリスク管理の第一歩と言えます。

企業であれば大事なのはバランスシート、それが債務超過になるかどうかが重要です。

個人の場合、若いうちは貯金が0になっても良いかもしれませんし、結婚して子供がいれば、生活を維持するのに最低限必要なお金は守らなければなりません。

レバレッジの高いFX取引でロスカットを受けて借金を背負ってしまったという話を見かけますが、これはリスク管理に失敗している、無謀な投資をしてしまった典型例と言えます。(もちろん最初からそれを強要していたのなら構わないのですが…)

最近、宝くじにお金をつぎ込むくらいならそのお金でFXに投資した方が遥かにマシと言って投資を勧めているのを良く見かけますが、果たしてそうでしょうか。

大抵この手の投資はレバレッジを効かせたリスクの大きい投資です。

近頃では1日の間にびっくりするくらい市場が動くことがあり、そうなるとロスカットが間に合わず、投資したお金がなくなるどころか、借金になってしまうこともあり得ます。

今年(2019年)開幕早々の急激な円高で、痛い目にあった人も多いのではないでしょうか。

どのくらい市場が動いたらロスカットになるのか、ロスカットが間に合わなかったときにどのくらい追加のお金が必要になるのか、それを理解することがリスク管理そのものです。

それを理解せずに投資に走ってしまうのは、何の装備もなしに魔王の城に乗り込んでいくようなものです。

  1. 自分の許容できる損失を理解する
  2. その範囲に収まる投資を設計する
  3. 投資が設計から外れていないかチェックする

これがこのブログで伝えたい、リスク管理の根幹です。

おわりに

リスクとリスク管理の定義について書きましたが、リスク管理は決して万能のツールではありません。

「リスク管理の仕事をしていたなら投資で儲けられないの?」と言われることもありますが、リスク管理は儲けるためのテクニックでも、損しないためのテクニックでもありません。

自分がどの程度まで投資出来るかを知り、そこから外れていないかを点検するためのテクニックです。

リスク管理と聞くと、市場を分析して投資をコントロールするというイメージを持たれるかもしれませんが、あくまで向かい合うのは自分自身なのです。

このシリーズでは、私が仕事で学んだノウハウを、個人の資産形成という観点で応用することを目標に、噛み砕いて説明をしていきたいと思っています。

その中では、私の主観的な考えが入ることもありますし、最近のトレンドからは外れた話をしてしまうかもしれません。

もちろんそうならないように、さらに勉強しながら発信していくつもりですが、みなさんにはこの話をそのまま鵜呑みにするのではなく、自身で考えるための材料の一つとして受け取ってもらえればと思います。

感想でも指摘でも反論でも、なんでも受け入れて良い記事にしていきたいので、先は長いですが、お付き合いいただければ幸いです。

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