あなたの資産は大丈夫?リスクを数字で表現する

リスク管理の考え方

以前の記事でリスクの定義について簡単に説明しました。

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今回は肝心のリスク管理に必要となる、リスクの定量化について話をしたいと思います。

まず、リスクを管理するためには、その前段階のモニタリングが不可欠です。

  • なんとなく危なさそうだから売ってしまおうかな
  • ちょっと余裕ありそうだからもう少し買おう

というあいまいな判断では、間違った投資になってしまうかもしれませんし、何より自分の下した判断に対して明確な理由を持てないことは、必ず将来の後悔につながります。

うまくいくかどうか分からない投資だからこそ、こうやって判断したんだから、それで失敗しても仕方ないと思えることが大事です。

その判断のための手段として、リスクの定量化があります。

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リスクの定量化とは

ざっくりというと、今の投資状況でどのくらい損をする可能性があるかということです。

専門用語でVaR(Value at Risk)と言います。

銀行のディスクロージャーには必ず書かれていて、たとえばVaRが1兆円と書かれていればその投資は現状から1兆円分、価値が低下する可能性があるということです。

更に詳しく言うと、VaRという数字は観測期間保有期間信頼区間という言葉とともに語られます。

観測期間1,000日、保有期間240日、信頼区間99%のVaRが1兆円と書かれている場合、「現在の資産を240日間持っている場合、過去1,000日の実績から鑑みて、99%の確率で1兆円価値が低下する」という意味になります。

急に難しくなりましたね…

ですが、そもそもVaRという代物は、個人投資についていちいち計算する必要はありません。

計算自体もまじめにやろうとすると結構めんどうです。

ではなぜここでVaRの話をしたのかというと、部分的に抑えておくべきポイントがあるからです。

それは、

  • 保有期間を明確にする
  • 過去の実績をもとにして考える
  • どのくらい価値が低下するかを数字で表す

の3点です。

保有期間を明確にする

どのくらいの期間、その資産を持ち続けるかによって、リスクは大きく変わってきます。

例えば、デイトレーダーのように頻繁に売買するのであれば、保有期間は10日くらいでしょうし、積立投資をしているのであれば10年や20年ということも考えられます。

株価であれば、10日間ではひどくても10%くらいしか下がらないだろうけど、10年だと最悪30%なんてこともありえる…というのはなんとなくイメージできると思います。

つまり、どのくらい資産を保有するかを明確にすることで、どのくらいの損失が発生しうるかが明確になるのです。

過去の実績をもとに考える

保有期間を60日(営業日ベースで3か月)にするとして、その240日にどのくらい下落するのかを考えなければいけません。

ここでは、過去の実績をもとに考えます。

難しいことはありません。

単に過去の推移を時系列順に並べて、そこから240日の変化幅を見るだけです。

ここで見る推移は金利だったり株価だったりして、以前の記事で触れたリスクファクターと呼ばれるものです。

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ここでは例として、このブログでもCFDで投資している、イギリス株の指数であるFTSE100で考えてみましょう。

この例では2016年1月~2019年1月の1年分(営業日ベースで240日)の価格推移に対して、60日の幅で開始日と終了日の差を取っていきます。

1日ずつずらしていくと、全部で「240-60=180」の変化幅が作れます。

この中で最も下落しているものを最大下落幅と言い、これが実現した時にどのくらい資産が目減りするのかを最大損失と言います。

この記事では最大損失を計算し、それを許容できるかを管理することを目標にしたいと思います。

余談ですが、先ほど書いた信頼区間99%とした場合、もっと下落しているものではなく、99%番目に下落しているものを使用します。

どのくらい価値が低下するかを数字で表す

では、保有期間と過去の実績が明らかになったところで、どのくらい価値が低下するかを実際に数字で表してみましょう。

リスクファクターから実際の価値の動きを計算(金利の動きから債券価格の動き等)するのはプライシングと呼ばれてとても難しいのですが、個人で投資するような商品は大抵価格が直接手に入るので気にしなくても大丈夫です。

ここでは、先ほど過去の推移を見た、FTSE100のインデックスファンドを例にして考えてみましょう。

前提として、100枚持っているとします。

3か月持ち続けるときのリスク

2016年~2018年のデータを使った場合

まずは先ほどと同じ、2016年~2018年のデータを使って、3か月持ち続けるときのリスクを計算してみましょう。

グラフのとおり、2018/10/4~2018/12/27の3か月間の下落幅が一番大きくて、▲834となっています。

そのため

FTSE100のインデックスファンド100枚を3か月持った場合、最大で「834×100=83,400円」の損失が発生する

ということになります。

約8万円の損失ですから、投信に積み立てているお金が8万円目減りしても大丈夫であれば、この投資を継続しても良いという目安になります。

2005年~2018年のデータを使った場合

今度は2005年~2018年のデータを使ってみましょう。

他は同じ前提です。

 

グラフのとおり、2008/08/29~2008/11/21の3か月間の下落幅が一番大きくて、▲1,856となっています。

そのため、

FTSE100のインデックスファンド100枚を3か月持った場合、最大で「1,856×100=185,600円」の損失が発生する

ということになります。

約18万円の損失ですから、投信に積み立てているお金が18万円目減りしても大丈夫であれば、この投資を継続しても良いという目安になります。

先程の例と比べると、2倍以上の数字になっています。

リスクを見積もる上で、どの期間のデータをもとに計算するかがいかに重要かが分かってもらえたかと思います。

1年持ち続けた場合のリスク

2005年~2018年のデータを使うという点は同じですが、前提を3か月保有から1年保有に変えてみましょう。

グラフのとおり、2007/12/11~2008/11/21の3か月間の下落幅が一番大きくて、▲2,756となっています。

そのため、

FTSE100のインデックスファンド100枚を1年持った場合、最大で「2,756×100=275,600円」の損失が発生する

ということになります。

約28万円の損失ですから、投信に積み立てているお金が28万円目減りしても大丈夫であれば、この投資を継続しても良いという目安になります。

同じ期間のデータを使っても、結果が1.5倍になりました。

当然と言えば当然で、長い間持っていれば、それだけ価格下落に遭遇する可能性があがるということですね。

おわりに

ちょっと難しかったかもしれませんが、具体的な数字を使ってリスクの計算をしてみました。

大事なのは、

  • 観測期間(いつのデータを使うか)
  • 保有期間(どのくらいの期間保有するつもりか)
  • ポジション(何枚持っているのか)

です。

今回サンプルとしたFTSE100のインデックスファンドですが、長期間保有して積み立てていく前提の投資であれば、過去の下落を見た時に一番ひどかったのがリーマンショックになるのは自明です。

そのため、リーマンショック時の最大下落幅が概ね4割程度として、現在の価格が4割下落すると考えることが多いです。

そうすると、

FTSE100のインデックスファンド1枚を長期保有する場合、最大で「7,500×0.40=3,000円」の損失が発生する

ということになります。

価格が上がる可能性がある一方で、最大でこのくらいの損失が出るということをしっかりと認識して投資を行うことが重要です。

こんなことになるとは思っていなかった…とならないよう、自分の体力と相談して投資するためのツールとして、この記事を役立ててもらえればうれしいです。

今回は簡単なインデックスファンドで考えてみましたが、次はこのブログでも紹介している株価指数CFDについても同様に見ていきたいと思います。

株価指数CFDの場合はロスカットという概念がありますので、そこについても説明します。

 

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